*確かに映画は沈黙していたが、だからといって劇場が沈黙していたわけではない。

楽譜、カタログ、アーカイブに眠っているもの
音楽は長きにわたり映画制作に不可欠な要素であり、映画ファンにとって音楽と映画の組み合わせはもはや当然のものとされています。今日の映画音楽に投入される労力と費用の多さを考えると、映画と音楽の共生が今日ほど当たり前とされていなかったとは想像しがたいでしょう。映画撮影の黎明期には、映画上映における音楽の役割はまだ明確ではなく、演奏者の能力、劇場経営者の資金力、そして上映会場の立地、規模、そして既存の音楽的伝統に大きく左右されていました。
初期無声映画時代における音楽の様々な役割を探るため、2017年に数週間かけてビル・ダグラス映画博物館を訪れました。私の博士論文の目的は、初期のイギリス無声映画において、音楽がいつ、どこで、なぜ使われたのかを再構築することです。映画に合わせて演奏された音楽だけでなく、序曲、客寄せのための音楽、休憩時間の音楽にも焦点を当てています。また、映画上映において音楽が標準的な要素となるきっかけとなった事例や人物についても探究しました。